JRAは2024年10月10日、根本厩舎所属の藤田菜七子騎手(27歳)に対し、調整ルーム居室内でスマートフォンを使用していたことを理由に翌・11日から裁定委員会の議定があるまで騎乗を停止するとを発表しました。
これを受け、藤田菜七子騎手は10日、JRAに対し引退を届け出たそうです。
過去には若手騎手6名もスマートフォンの利用で処分されたことがあり、今回の藤田菜七子騎手も関係していたそうですが、いったい何があったのでしょうか。
今回は藤田菜七子騎手が処分された経緯を調査、まとめていきます。
引退発表の背景と経緯
藤田菜七子騎手は2023年4月ごろまで複数回にわたり、調整ルーム居室内にスマートフォンを持ち込み、使用(通信)していたことが判明し、”JRAの騎手として重大な非行”があったとして、「日本中央競馬会競馬施行規程第148条第2項」により、裁定委員会に送付するとともに、同条第4項により2024年10月10日に騎乗禁止命令が課せられました。
それをうけ、その日中に藤田菜七子騎手は引退を表明しました。
2023年4月といえば、若手騎手6人が一斉に騎乗停止処分を課せられた時で、規制が厳しくなった2023年5月以前の出来事でした。
引退に至った理由とは?
藤田菜七子騎手の引退撃。ことの発端は、2024年10月9日に『文春オンライン』が報じた記事です。
記事によると、前述の通り、藤田菜七子騎手は、2023年4月頃までに調整ルームに禁止されているスマートフォンを持ち込み、通信アプリで外部と複数回、通信していたんだそうです。
JRAは八百長のような不正を防止するためにレース前にスマホなどの通信端末を預けることを義務づけています。
こうした報道を受け、藤田菜七子騎手は10日に騎乗停止処分を受け、その日の夜に引退を表明。翌11日に騎手免許取消申請が受理され、正式に引退しました。
2023年には若手騎手6名もスマホで処分を受ける
藤田菜七子騎手の処分を巡っては複雑な経緯があります。
そもそもの発端は、2023年5月に明らかになった、若手騎手6名の通信機器持ち込み問題です。
当時、騎手控室にスマートフォンを持ち込み、インターネット閲覧や通話をしたことが『不適切使用』とされ、今村聖奈騎手、永島まなみ騎手、古川奈穂騎手、小林美駒騎手、河原田菜々騎手、角田大河騎手の6人が30日間の騎乗停止を受けました。
こうした中で、当時は藤田菜七子騎手だけはスマホの持ち込みが発覚せず、“株を上げた”と評価されていました。
虚偽の申告をしていたことが発覚
2023年5月に若手騎手6名が処分された際、藤田菜七子騎手は使用していなかったとして、株をあげていましたが、実はそうではありませんでした。
藤田菜七子騎手の引退をめぐり、師匠の根本康広師が報道陣の前で
菜七子は以前に、そういう通信機器を使っていたことをJRAに自ら報告をしている。そして、その際に口頭で厳重注意を受けている。それが週刊誌の報道で、また処分を受ける形となってしまった
と語っています。つまり、2023年5月の事件の際、藤田菜七子騎手もスマホを使用しており、それを“自白”し、非公表で注意を受けていたそうです。
しかし、この”自白”は嘘の申告だったことが判明しました。
ある競馬関係者の話では
2023年5月、若手騎手6人によるスマートフォンの不適切利用が発覚しました。その際、JRAが全騎手に聞き取り調査を行ったところ、藤田は唯一、自己申告で『調整ルーム内でTwitter(現・X)とYouTubeを閲覧した』と申し出ていた。
当時の規則では『ルーム内での通信』が違反で、持ち込み自体は禁止ではなかったため、JRAは口頭で厳重注意としていました。ところが、今回の文春の報道により、外部との通信があったと新たに判明した。
週刊現代より
という背景があり、藤田菜七子騎手への処分は他の6名よりも厳しいものとなり、藤田菜七子騎手は引退する決断をしたようです。
2023年に処分を受けた6名は現役でプレー
2023年5月に処分を受けた6名の若手騎手ですが、騎乗禁止処分に負けず、引退するどころか、しっかりと成績を残しています。
藤田菜七子騎手の引退が受理された日の翌日、10月12日に新潟競馬場で行われた5R・2歳新馬戦(牝・芝1600m)でミストレス(牝2・栗東・矢作芳人)に騎乗した古川奈穂騎士は6馬身差をつける圧勝を飾っています。
最後に
今回は電撃引退を表明した藤田菜七子騎手について、その引退の背景を紹介してきました。
女性騎士を牽引する存在でもあった藤田菜七子騎手の引退は非常に大きなインパクトがある出来事でもありますし、今後どのように競馬界が進んでいくのか、注目が集まっています!
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